映画『ローマ法王の休日(Habemus Papam)』 [ひとりごと]
今年もよろしくお願いいたします。って、半年以上ぶり。
ご無沙汰してました。元気でした。
一度更新を怠るクセがつくと、なかなか…。
『ローマ法王の休日(Habemus Papam)』2011年/イタリア/フランス/105分
(C)Sacher Film . Fandango . Le Pacte . France 3 Cinema 2011
遅ればせながら観た(TVでだけど)。いかにもNanni Moretti(ナンニ・モレッティ)らしい、ずっとクスクス笑わせてくれて、最後に(私にはいい意味での)虚脱感を味わえる映画。ただ映画評のサイトを覗くと、あんまり芳しくない。日本語のタイトルから『ローマの休日』法王版みたいに思ったんだろうな。
(C)Sacher Film . Fandango . Le Pacte . France 3 Cinema 2011
新しく法王に選出されたメルヴィル枢機卿の「自分探しの旅」。ヴァチカン広場の信者たちへの挨拶を前に逃げ出しちゃって…ローマの街を彷徨い市井の人々とふれあいながら自分を取り戻し、そして…ってストーリーなんだけど、さて。「宗教」と「精神科医(分析医もしくはカウンセラー)」という、心のよりどころを求めて頼られるべき人たちの本音と建て前が、ユーモアの薄皮に包まれて描かれており、現代人を皮肉る。きっとイタリアでもカウンセリングやらセラピーやらに通う人が増えてるんだろ。
(C)Sacher Film . Fandango . Le Pacte . France 3 Cinema 2011
なにが面白いって「あの」システィーナ礼拝堂でのConclaveのシーンからぶっ飛んだ。現地ロケかと思って(笑)。メイキングだとセットのようで。Cinecitta'(チネチッタ)かな?そらぁそうだろう、ヴァチカンの一番深い闇まで切り込んではいないけど、軽く笑いものにしてる映画のロケを許すわけがないし、観光客どうすんだ?という問題が…。でも、よくできてる。
(C)Sacher Film . Fandango . Le Pacte . France 3 Cinema 2011
この映画の魅力は、とにかくCardinali(カルディナーリ:枢機卿の複数形)に尽きる。みんなチャーミング。ただし、何となく仏教徒の私だったり、一応カトリックのイタリア人の友人たちだと、あの皮肉と当てこすりを心から笑えるが、毎週きちんとミサに行き下手すると食前のお祈り(私は遭遇したことがない)までするような人たちには受け入れがたいだろう。なんたって恐れ多くも枢機卿ですよ、それを笑いものにするなんて!という土壌を知らない日本人には、ピンとこないかも…。
(C)Sacher Film . Fandango . Le Pacte . France 3 Cinema 2011
その他の見所は、モレッティらしい小さな揶揄が、そこここに散りばめられてるところかな。初っぱなのTVのリポーターの厚顔さと意味のないお喋り、それに応える報道官の慇懃無礼な言葉遣い、何でも幼児時代の体験を問題の原因にしてしまう医師、法王の不在を知られまいと身代わりを頼んだ衛兵隊長の質問が「テレビ見てもいい?」、信者に心の平安を与えるはずの枢機卿、ほとんどが睡眠導入剤(ご老人だから仕方ないか?)や向精神薬のお世話になってる、などなど小さな仕込みに一々笑ってしまう。
(C)Sacher Film . Fandango . Le Pacte . France 3 Cinema 2011
そして『最強のふたり』を観たときにも思ったのだが、ヨーロッパの映画には「行間」が生きている。近頃の日本映画や小説だと、何でもかんでも主人公(および登場人物)に喋らせて「どだ!感動したろ?な!な!な!」と来そうな所をグッと抑えているところが、好みなのだ。
しかし、この映画の封切りは2011年、ベネディクト16世(Benedictus PP.XVI)の異例の退位が2013年。まさかこの映画の影響じゃないよね(笑)。
ご無沙汰してました。元気でした。
一度更新を怠るクセがつくと、なかなか…。
『ローマ法王の休日(Habemus Papam)』2011年/イタリア/フランス/105分
(C)Sacher Film . Fandango . Le Pacte . France 3 Cinema 2011
遅ればせながら観た(TVでだけど)。いかにもNanni Moretti(ナンニ・モレッティ)らしい、ずっとクスクス笑わせてくれて、最後に(私にはいい意味での)虚脱感を味わえる映画。ただ映画評のサイトを覗くと、あんまり芳しくない。日本語のタイトルから『ローマの休日』法王版みたいに思ったんだろうな。
(C)Sacher Film . Fandango . Le Pacte . France 3 Cinema 2011
新しく法王に選出されたメルヴィル枢機卿の「自分探しの旅」。ヴァチカン広場の信者たちへの挨拶を前に逃げ出しちゃって…ローマの街を彷徨い市井の人々とふれあいながら自分を取り戻し、そして…ってストーリーなんだけど、さて。「宗教」と「精神科医(分析医もしくはカウンセラー)」という、心のよりどころを求めて頼られるべき人たちの本音と建て前が、ユーモアの薄皮に包まれて描かれており、現代人を皮肉る。きっとイタリアでもカウンセリングやらセラピーやらに通う人が増えてるんだろ。
(C)Sacher Film . Fandango . Le Pacte . France 3 Cinema 2011
なにが面白いって「あの」システィーナ礼拝堂でのConclaveのシーンからぶっ飛んだ。現地ロケかと思って(笑)。メイキングだとセットのようで。Cinecitta'(チネチッタ)かな?そらぁそうだろう、ヴァチカンの一番深い闇まで切り込んではいないけど、軽く笑いものにしてる映画のロケを許すわけがないし、観光客どうすんだ?という問題が…。でも、よくできてる。
(C)Sacher Film . Fandango . Le Pacte . France 3 Cinema 2011
この映画の魅力は、とにかくCardinali(カルディナーリ:枢機卿の複数形)に尽きる。みんなチャーミング。ただし、何となく仏教徒の私だったり、一応カトリックのイタリア人の友人たちだと、あの皮肉と当てこすりを心から笑えるが、毎週きちんとミサに行き下手すると食前のお祈り(私は遭遇したことがない)までするような人たちには受け入れがたいだろう。なんたって恐れ多くも枢機卿ですよ、それを笑いものにするなんて!という土壌を知らない日本人には、ピンとこないかも…。
(C)Sacher Film . Fandango . Le Pacte . France 3 Cinema 2011
その他の見所は、モレッティらしい小さな揶揄が、そこここに散りばめられてるところかな。初っぱなのTVのリポーターの厚顔さと意味のないお喋り、それに応える報道官の慇懃無礼な言葉遣い、何でも幼児時代の体験を問題の原因にしてしまう医師、法王の不在を知られまいと身代わりを頼んだ衛兵隊長の質問が「テレビ見てもいい?」、信者に心の平安を与えるはずの枢機卿、ほとんどが睡眠導入剤(ご老人だから仕方ないか?)や向精神薬のお世話になってる、などなど小さな仕込みに一々笑ってしまう。
(C)Sacher Film . Fandango . Le Pacte . France 3 Cinema 2011
そして『最強のふたり』を観たときにも思ったのだが、ヨーロッパの映画には「行間」が生きている。近頃の日本映画や小説だと、何でもかんでも主人公(および登場人物)に喋らせて「どだ!感動したろ?な!な!な!」と来そうな所をグッと抑えているところが、好みなのだ。
しかし、この映画の封切りは2011年、ベネディクト16世(Benedictus PP.XVI)の異例の退位が2013年。まさかこの映画の影響じゃないよね(笑)。
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